札幌地方裁判所 昭和45年(ワ)1012号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕右に認定したところによれば、原告は別紙物件、目録記載の物件(編注、家財道具などの有体動産)について実質的な意味での所有権を有するものではなく、単にその主張の債権について優先的な弁済を受けるための譲渡担保権を有するにすぎないものといわなければならない。しかして、その権利の内容は、被担保債権の弁済期を経過しても弁済がない場合に目的物件を任意にかつ適宜の方法で換価して、その売却代金を被担保債権の弁済に充てることができるというにとどまり、弁済に充当してなお剰余があればこれを物件提供者に返還しなければならないとともに、一方、物件を提供した債務者は、債権者による換価処分があるまでは被担保債権の弁済と引き換えに担保物件を取り戻すことができるのである。かかる内容の権利を有するにすぎない譲渡担保権者は、未だ換価処分に至らない間は、第三者の債務者に対する担保物件に関する強制執行についてこれを全面的に排除するよう求めることは許されず、民訴法五六五条の優先弁済を求める訴の限度でその権利を主張することが許されるにすぎないものというべきである(東京高裁判昭四四・一・二四高民二二巻一号三五頁。なお、大阪高判昭四四・九・一六下民二〇巻九・一〇合併号六五五頁参照。)。
本件の場合、前記認定事実によれば未だ目的物件の換価に至つていないことが明らかであるから、原告の請求は主文一項の限度で正当として認容すべきも、これを超える請求は失当として棄却すべきものである。
よつて、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条、強制執行停止決定の取消・競売得金の供託およびこれが仮執行宣言につき同五四七条、五四八条、五六五条二項をそれぞれ適用のうえ、主文のとおり判決する。 (稲守孝夫)